「英雄の書」
なんとも刺激的なタイトルです。
著者である黒川伊保子さんの講演を聞いたのは3年前…
脳科学的な見地から興味を持って拝聴させていだいたのを思い出します。
「英雄の書」の冒頭には、こんなことが書かれています。
脳は、この世に生まれてきた以上、その完成地図を描き続ける。
同じ経験を持つ人が二人といないのだから、同じ脳神経回路を持ち人は二人といないのだ。
だから、誰かの正解をなぞって満足するような脳なんて、この世にいないである。
たしかに…
一緒になにかをする相手がいても、同じ経験を共有していても…
同じ脳神経回路ではないので、何が正解かはわかりませんね。
この世に、あなたの脳はたった一つ。
あなたの人生のものがたりも、たった一つだ。
あなたのものがたりをドラマティックに盛り上げてくれるイベントを「失敗」と呼んで怖れたり、いちいち傷ついていたら、何も始まらない。
生きているといろんなことに遭遇します。
チャレンジの数だけ失敗もあり、ボクにも上手くいかなくて死にたくなることだってありました(笑)
でも、いちいち凹んでいたら始まりません。
脳を進化させるための3つの掟
1.「失敗」はだれのせいにもしない
2.過去の「失敗」にくよくよしない
3.未来の「失敗」におどおどしない
ボクは、どうすれば上手くいくのかをポジティブに考えて「今」に集中することが大切だと思っています。
サッカーやバレーボールの試合中にも、ミスを反省しながらとか、失敗するのではと心配しながらプレーはしない。
今できることに集中してチャレンジすることだけです。
「他人に、とやかく言われたくないから」
よく耳にする残念な言葉です。
ミスをしたくないから、責任を問われたくないからチャレンジしない。
シュートを外したらコーチから怒鳴られるから味方に安易にパスを出す。
そんなプレーばかりしていたら成長しません。
自分のやりたいプレーを優先して失敗したらいいのにと思うのです。
人は社会的動物で、厳密には他人と連携しなければ生きていけない。しかし、一方で脳は「孤」の時間を持たないと、世界観が作れないのだ。自分が何者かを知るには、この世を自分独自の世界観で眺めなければならない。与えられた、誰かのそれじゃなく。
つるんで愚痴ばかり言っていると、自分の頭で考えて行動して、責任をもって内省することができません。
誰かの流布する論調に乗って、みんなと一緒なら安心というようなレベル。
これだと個は育たないとも思っています。
他人に「ある、ある」「わかる、わかる」「いいね、いいね」と追従して暮らしていると脳の感性が「大衆全体の平均値」に近くなる。
SNSとのつきあい方も書かれています。
道具として使うことや、ホルモン分泌の再生時間(22時~2時)の間は使用しないほうがいいとか…
ホントにその通り…
確かにみんなと一緒だと安心みたいな心理はあるけれど、振り回されてはいけない。
本来なら、脳は、「自分に必要なものだけが目に飛び込んでくる」装置
一流のスポーツ選手は、自分にとっていいものだけを取り入れる傾向が顕著だとも言われています。
不要なものは削ぎ落とし、シンプルな思考を心がけてトレーニングに励む。
尊敬するキングカズや日米通算3000本安打が間近に迫るイチロー選手たちのように…
「圧倒的に上質の異質になれ」
自分らしさを追求して、上質の異質になる。
そうありたいものです。
人は、他人の人生をいきるのではなく、自分の人生を生きているのだから…
面白い本でした。
Good Luck.