どうすれば「笑顔あふれる教室」になるのだろうか。
どうすれば「笑顔あふれるチーム」になるのだろうか。
そこに関わる全ての人たちが笑顔でいられるにはどうすればいいのか。
葛藤は続いた。
人が喜んで集まるところには何か秘密があるはずだ。
いわゆる一流のホテルではスタッフがどのように働いているのか。
人気のテーマパークではキャストがどのようにゲストを楽しませているのか。
人と人が接する他の業界からヒントを得るために情報を集めた。
活用できそうな心構えや方法を教室に持ち込みながら試行錯誤する日々が続く。
そんな頃…
「先輩!JFA Sports Managers College(本講座)を受講したらどうですか?」
研修でお世話になった大学時代の後輩から案内があった。
「自立した魅力溢れるスポーツ組織づくりを推進し、スポーツ文化の創造、人々の心身の健全な発達と、社会の発展に貢献できる優秀なスポーツマネジャーを養成することを目的とした人材育成事業」と書いてある。
スポーツの世界でも貢献したいと思っていたボクにはピッタリの講座。
JFAハウスを中心に年間33日間の集合研修が行われる。
全くもって眠くなることがなく驚きの連続だった。
それは講座のデザインによるものだったのだと今でも思う。
30名の受講生が5名ずつに分かれてグループを編成する。
個人ワークもあるが常に仲間と学ぶ、教育の世界で言えば「学び合い」のようだった。
各セッション、最初にちょっとしたおしゃべりやゲームをしてから本題に入る。
これを何度も繰り返すうちに全国各地から集まったメンバーの距離がグッと近くなった。
アイスブレイクが終わるとテーマについて説明がある。
その後、個人ワークとなり多くのワークシートに頭の中にあるものを書き出す。
書き上げたワークシートを仲間と共有し、更にワークシートへ書き足していく。
仲間たちの話を聞くと新たなアイデアが生まれてくることを体感した。
他者の話を聞くことや聞いてもらうことで気がつけばグループはチームに変化する。
お互いの関係性が良くなることでアイデアがポンポンと出てくる。
チューターや講師陣が話す時間は短く、ワークの後に解説がある程度だ。
「こんなふうに授業を進めたらいいんじゃないか?」
そう思いながら受講を終えた2009年4月に教育委員会から学校現場へと戻ることになった。
新たなOSをインストールされてしまったボクは一斉授業に違和感を覚えていた。
ところが残念なことに喋りすぎ、ダラダラと説明をする癖はなかなか抜けない。
悩ましい日々が続いた中でSMCのリフレッシュ講座に出かけた。
そこで「コミュニティデザイン」という言葉に出会うことになる。
山崎亮さんの話を聞いて「人がつながるしくみをつくる」という言葉に感動した。
「僕たちの仕事は地域に住む人たちの話を聞き出すことからはじまる」*1
子どもたちの話を聞き出すことから始めたい。
「モノをつくるのをやめると人が見えてきた」*2
教え過ぎることをやめると子どもたちが見えてきた。
「まちにとってなくてはならないデパート」*3
子どもたちにとってなくてはならない教室をつくりたい。
「1人でできること、10人でできること、100人でできること、1000人でできること」*4
みんなで力を合わせればできることがあるはずだ。
「デザインは社会の課題を解決するためのツールである」*5
教室をつくるというデザインが必要なんだ。
(*1〜5 「コミュニティデザイン」学芸出版社)
最後は人と人のつながりがものを言う。
もちろん授業の面白さも重要だが、学びながら子どもたちが関係性を構築したい。
そのためには子どもたちに委ねることも必要になってくるのだが…
「いたれりつくせりの環境ができてしまうと、そこに暮らす人はお客さんに変わってしまう」
(「まちの幸福論」NHK出版 P167)
なるほど…
何でも教え与えていたら子どもたちだってお客さんに変わってしまう。
大切なことは、子どもたちが「自分たちで教室をつくろう!」と動き出すこと。
じゃあどうすればいいのか?
試行錯誤は続いた。
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