子どもたちが本当の姿を見せる時は遊んでいる時なんだろうって思う。
楽しそうに遊んでいる時の表情は豊かでキラキラと輝いているからだ。
逆に明らかに表情がくすんで見える時がある。
ボクの明らかにつまらない授業、必要もない長い説教。
子どもたちの反応は実に正直だった。
小学校の授業は一コマ45分、その時間でやらなければいけないことがある。
教科書の何ページから何ページまでとか…
学期の終わりに単元を終えていないことがあっては困る。
子どもたちには不満が残るし保護者からクレームが来ることにビビる。
そんなこともあって号令の後にさっさと授業に入る。
「はい!始めます!今日は○○の勉強です。教科書○ページ…」
子どもたちは言われたとおりにページをめくるが顔は笑っていない。
なかなかページを開かない子に注意をすることもある。
「おーい!やる気あんのか?」
何とも優しさない自分本位の声かけだったと今でも残念に思う。
そんな頃、「サッカー選手・指導者の行動心得」(日本サッカー協会)を目にする。
公認C級コーチライセンスを取得し市トレセンのコーチを始めた頃でもある。
12項目が並んでいた。
1 最善の努力
2 フェアプレー
3 ルールの遵守
4 相手の尊重
5 仲間を信じて
6 やる気・自信を高める
7 勝負の受容
8 オープンマインド
9 環境の改善
10 責任ある行動
11 社会悪との戦い
12 感謝と喜び
これらは教育現場にも変換が可能だ。
早速、いくつかを教室へ持ち込んでみた。
当時のボクは「自分の在り方」に課題を抱えていたので最も気になったはのは「8」
「オープンマインド」という言葉だった。
8 オープンマインド
– 自分を表現し、人の意見に耳を傾け、聞き入れる態度・姿勢を持つ。
教師として格好つけて武装をするのではなく、自分のありのままを晒していく。
自分の子ども時代のことや学校以外の話すことも増えた。
目にしたもの、感じたことを可能な限り鮮明なイメージで伝える。
子どもたちの目線に近づく努力をしながら自己開示していく。
そうなると不思議と立って話すよりも座って話す方が良いことにも気づいた。
グランドでも実に多くの指導者たちに出会ってきた。
子どもたちが目を輝かせてプレーするチームのコーチには特徴があった。
ミーティングの時はグランドが濡れていない限り座って話している。
指導者の周りに選手が集まってはいるのだが距離が近く静かに話す。
そして、試合間に楽しそうに遊んでいるシーンが目についた。
選手たちと指導者の間に爽やかな風が流れているようにも見えた。
「オープンマインドってこういうことかな?」
そんなふうにも思えた。
ボクの場合、一方的な表現を繰り返していた。
子どもたちの意見に耳を傾け、聞き入れる態度や姿勢を持ち合わせていなかった。
「言うとおりに戦えば試合に勝つ確率は高まるぞ!」
「ベンチで状況を見ながら修正を加える指揮官はオレだ!」
という具合に選手たちと将棋の駒のように動かしていたのだ。
あちらこちらから不満の声が聞こえてきたのも当然である。
そんなこともあって「オープンマインド」は心に刺さる言葉だった。
「これからはオープンマインドだ!」
と息巻いたもののコトは簡単ではなかった苦い経験もある。
「○○について、みんなの意見を聞いてみたい。なんかある?」
と言っても反応が今ひとつなのだ。
意見が出たとしても教科書通りのものしか出てこない。
上手くいかないモヤモヤをを抱えながらボクは教育委員会へ出向。
そこで先生たちの様々な実践を知り「指導される主事」の4年間を過ごすことになる。
指導主事としての最終年、サッカーの現場では新たな学びの場を与えられた。
JFA Sports Managers College 本講座(SMC)である。
年間33日のSessionはいつだって本題からは入らない。
まず最初に「遊び」があった。
全国各地から集まった30名の仲間たちの距離がグッと近くなる。
「アイスブレイク」と呼ばれる時間は本題へ入る前の良い準備となった。
SMCにはコミュニティデザインのヒントがいっぱい転がっていた。
そして、ここでの体験が教室のスタイルを激変させる転換点となっていく。