3学期といえば…
あっという間に卒業式や修了式がやって来てしまう。
瞬き一瞬というくらいに時計の針が猛スピードで動くのが学年末だ。
6年の担任は少し余裕があるが他の学年だと大変だった記憶が残っている。
「え?もう時間がないじゃないか!最後まで終わるのか??」
毎年のように慌てた。
学年末は「まつり」と称して算数ばかりをやる日もあった。
残っている単元テストなども同様だ。
「中学校へ行くとテスト期間というものがあるんだからね」
などと言い訳をしながらテストを配っていた。
申し訳なかった…
「しょうがねぇなあ、やってやるよ」
子どもたちは笑いながらも付き合ってくれたのは幸いだったけどね。
年間計画を見ながら学習計画を立てる。
学校行事などで通常授業ができない時間もあるが余剰時間は設定されている。
なのに足りない…
特に経験の浅かった頃は毎年度末ヒヤヒヤだった。
小学校の授業は一コマ45分。
その時間のねらいや活動内容が決まっている。
脱線しようものなら授業が進まなくなることもある。
「はい!おしまいだよー!」
せっかく子どもたちが楽しそうにしているところに声をかける。
「えー?まだいいじゃん!」
と子どもたちが抵抗を試みる。
「いやいやムリでしょ。まとめの時間あるんだから」
バッサリと切り捨ててしまう。
こんなふうにボクの都合で進めてしまった授業は数え切れない。
忘れられない写真がある。
小学校3年理科「かげと太陽」の授業だ。
“影は、太陽の光を遮るとでき、その位置は、太陽の動きによって変わることに気づく。”
というようなことが学習テーマ。
えんぴつやストローなど棒状のものを立てて日時計なども作った。
影がどのようにできるのか、どうやって動くのかなどあれこれと確認する。
パッと確認したらノートにまとめる。
余計なことをしていたらチャイムが鳴ってしまうという心配するのはボクだけだった。
子どもたちは仲間と影を作り始めた。
「みてみて!くわまん!」
なんとも楽しそうだった。
子どもたちの自由な発想というか何というか…
圧倒されてしまった。
日時計の観察よりも記憶に残ったはずだ。
なんてったって楽しいんだから。
太陽は東から昇って西へ沈むとか…
それに合わせて逆方向に影ができるとか…
子どもたちにとって、そんなことはどうでもよかった。
もちろん、後でまとめはしたけれど…
みんなで競うように面白い影を作りまくった。
「これいいじゃん!」
と思ったら呼ばれてデジカメのシャッターを切る。
「こういうのが楽しいんじゃない?」
影の最上部にハートを作った女の子が言う。
子どもたちは遊びの天才だ。
「こうすればもっと楽しいんじゃない?」
「こうすればもっと早く終わるんじゃない?」
「こうすればもっとハッピーになるんじゃない?」
思えば子どもたちから問われる毎日だった。
「もっとこうしよう!」
と担任のボクが言うのではなく…
「もっとこうしてみよう!」
と子どもたちがチャレンジをする。
そんな姿を眺めるのが楽しくなってきた頃の話。
もちろん…
毎度おなじみの年度末を迎えて焦ったことは言うまでもないのだが。