落合洋一さんのX投稿で落合信彦さんが天に召されたことを知る。
ふと思い出して本棚にある著書を取り出した。
そのうちの一冊が「成り上がりの時代現代版・下剋上のススメ」。
出版されたのは1997年、今から約30年程前、ボクは30になったばかりだった。
「学校の中にある古い体質を変えたい」
そんな血気盛んだったことを思い出しながらページをめくったことを思い出した。
まずは、頭のリストラを!これまでの価値観が通用しなくなる時に備えた自分を磨け
第2章のタイトルである。
早急に変えるべき意識として、次の4つが紹介されている。
1.「寄らば大樹」意識
2.偏差値信仰
3.学校信仰
4.早期教育信仰
政府はあまりにも膨大な借金を抱えて、今や、破産寸前。公営企業が次々に民営化されるのは時間の問題だ。
まさに今の政治状況を物語っているのではないだろうか。
国にせよ、地方自治体にせよ、コストがかかるということで民間へ安易に委譲する例が後を絶たない。
そして、「大樹」の崩壊は政党の分裂からも理解できる。
十四歳の時点で日本の中学生が、世界で三番目に高い点数をマークしても、それは「死に点」であるいうことだ。
マラソンに例えて、「やる気」や「意欲」、「好き」であることの重要性を説いている。
30年以上、教育の現場にいて痛感してきたことである。
子ども時代にムチを打って100点を取らせることに、どんな意味があるのだろうか。
その末路が不登校児童生徒の急増や自ら命を絶つ小中高生の高止まりという状況なのではないか。
ひと昔前は、学校に行くことが、即ち勉強であった。(中略)これは学校に言っても「勉強」になっていないことの照明だ。
「日本の英語教育は世界最大のムダ」というように学校の外にも学習の場があると主張する。
今や学校は最先端のものを提供できる場としては存在していない。
学校外で最新の知識や技術に触れることができ、動画投稿サイトで何でも学べる時代である。
子どもたちの興味関心を受け止めるだけの魅力が薄れているのが今の学校教育ではなかろうか。
「早期教育信仰」この発想に立って世の親たちは子供たちを「お受験」に駆り立てている。
受験に限らずスポーツや芸術全般における傾向として「促成栽培」について語っている。
「能力開発というより、むしろ才能破壊」だという主張には激しく同意する。
競技を離れるだけでなく、その競技自体が嫌いになる子たちをイヤになるほど見てきた。
子どもたちに課金し続ける大人たちの狂乱ぶりを止めなければならない。
「ガレージ・ベンチャー」への道
第3章のタイトルである。
そうそう、MicrosoftやAppleなどIT関連企業が台頭してきた頃の書籍だ。
当時、引用していたhp社の「Rules of the garage」を思い出した。

ヒューレット・パッカード「ガレージのルール」
世界を変えられると信じよう
迅速に動こう、道具をしまわずにおこう、いつも働こう
一人で動くときと協働するときを知ろう
道具やアイデアを共有しよう、仲間を信頼しよう
派閥は関係ない、官僚主義も関係ない
顧客が良い仕事をしたかを決めるのである
革新的なアイデアは悪いアイデアではない
様々な働き方を見出そう
毎日一つ貢献しよう、貢献しなければ、ガレージを離れない
一緒ならば何でもできると信じよう
創造しよう
こういうのたまらなく好きだったな。
・結果を恐れずに楽天的に
・山の頂上へはどこからでも登ることができる
・人には、いくつもの「芽」がある。それを生かすも殺すも自分しだい
・田舎者であることを喜べ
・失敗と挫折は人生の肥やし
「ミスをしない努力」よりも「成功するための努力」を説いている。
そうそう、せっかく生きているのだからチャレンジした方が気持ちいい。
なんとなく元気のない社会だけれど行動し続ける者たちが世の中を動かすことを忘れないようにしたい。
「フリーエージェント」人間への道
第4章のタイトルである。
今の時代を予見するようかの内容であり、ボク自身も大いに影響を受けたことが分かる。
まず、職場で自分の裸の実力を知れ
1.自分の裸の実力が見えてくる
2.会社が見えてくる
3.時代が見えてくる
4.勝負カンがつく
5.独り立ちに向けての布石を「打つ」ことができる
次の時代の主役は「フリーエージェント」人間
であると言い切っている。
この頃、海外へ飛び出したスポーツ選手して有名だったのは野茂英雄だった。
その後、イチローを始めとする選手が追随して今や大谷翔平がいる。
日本のサッカー選手は後発だが、今では代表チームのスタメンは海外組が独占する。
時代が変わった。
まず、自分のインフラを作れ
大部分の若者はこれといった目標やビジョンがないまま企業に入ってくる。フリーエージェントを目ざすならば、まずジュニア社員のうちに、人生の大まかなビジョンを持つべきである。
ジュニア社員の段階で重要なことは、まず頭と心のインフラを作ることだ。
もう60を目前に控えるシニア世代に足を突っ込んでいるボクにも刺さる。
そのために必要なことが示されているので引用しておく。
■十の「力」
「体力」ー使いべりしない体力がすべての基本。
「行動力」ーフットワークと実行力。
「創造力」ー常に十のアイデアを持て。人よりワンランク上の仕事を可能にする発想を持て。
「適応力」ー自分を不利にしない人間関係を学べ。挨拶、言葉遣い、マナーの重要性を知れ。
「集中力」ーーつ一つに全力投球すべし。
「判断力」自分にとって必要か不必要か、相手の本音はどこにあるのか、といった判断を常に行うことが蓄積を生む。
「交際力」ー会社の枠を超えた横の人脈を作り、発展させよ。飲み上手になれ。
「知力」ー専門知識に強くなると同時に、自分の得意分野を持て。
「自己表現力」ー自分をアピールするコツを掴め。
■三つの「センス」
「現場感覚」ー頭で考えたものより、自分の目で見たもの、膚で感じたものを大切にせよ。
「勝負カン」ー攻めのタイミング、敵の強弱、攻めか待ちか、などを判断するカンを養え。
「時代感党」—
一時の変化に敏感であれ。
■六つの「マインド」
「好奇心」ー常にいろいろなことに興味を持て。
「自立心」ー組織に呑まれるな。
「フレキシビリティー」ー会社の常識、前例にとらわれず、いろいろな角度からものを見よ。
「茶目ツ気」ースクエアな優等生より、遊び心のある人間になれ。
「スリル」ー仕事のスリル、勝つスリル、遊びのスリル、恋のスリルを蓄し自分の財産にせよ。
「ユーモア」ージョークやちょっとしたユーモアは仕事の潤滑油。
この十の「力」、三つの「センス」、六つの「マインド」は、真の実力をつけていくうえで、ぜひとも身につけて欲しい「テイクオフ」への基礎条件である。
こういった言葉に魂が震えたのは「竜馬がゆく」を夢中になって読んだ影響もあるのだろう。
もちろん、組織の中で真面目に仕事はしてきたが、気がつけば脱藩に近い道を歩んでいる。
「社内プロフェッショナル」への道
この本には歴史から学ぶ記述が頻繁に出てくる。
最後に登場するのは秀吉だ。
人にはない四つの特質を持っていたとしている。
1.ディープな情報
2.社外人脈
3.独創的なアイデア
4.異能のブレーン
「墨俣築城」や「美濃衆への寝返り工作」を例に社外人脈の大切さを説いている。
同じ組織の中に安住すると世界が変化していることが分からない。
このままでいいのだと思っていたら、ある日、世界がひっくり返ることもある。
しばし「学校は閉鎖的だ」と言われるが、その通りの世界だったことを痛感している。
とはいえ、新しい空気を入れようと必死になっている先生たちもいることも事実。
全てがダメだというわけでなく、その傾向が強いということも書いておく。
安国寺恵瓊の話が出てくる。
敵方である恵瓊の交渉力と情報力を高く評価していたとしている。
「頭で戦をする」ことを大切にしていた秀吉は情報を集めて徹底分析したそうだ。
その後、調略や兵糧攻め、水攻めを図って相手を攻略していく。
まさに四つの特質を柔軟に生かして世の中を席巻したのが秀吉だったのが分かる。
人生には「大きなソロバン」をはじく時がある。くぐり抜けた試練が多ければ多いほど、そのソロバンは大きくなる。秀吉は最後にそのソロバンをはじいたのだ。
誰もが試練を受けながら生きているのだと思う。
時にはどうしようもない経験をして生きるのがイヤになることもあるだろう。
それでも、最後の最後までチャレンジができれば生きる意味を見いだすことができるんじゃなかろうか。
今夜はアサヒスーパードライで献杯。
30年近く前に出版された「成り上がりの時代現代版・下剋上のススメ」は何とも刺激的だった。
いよいよ50代最後の一年を迎えるボクにとって必要な再読の時間だったように思う。
もう一冊「ずぶとい国、ずるい国、そしてバカな国」も手元にあるので読む。
そして、「予言された世界」(落合洋一・落合信彦)も購入したので読むことにする。
これから世界はどこへ向かうのだろうか。
そんなことを考えながら今夜はスーパードライで献杯しようと思う。
落合信彦さんに感謝。
ご冥福をお祈りいたします。

