朝から冷たい雨が降る丹沢・大山の麓。
読みたい本のページを一気にめくる一日となりました。
スポーツと教育の現場経験から気になっていた本がこちら。
フットボールは自ら見て、感じて、考えて、自己決定して、間違えて、へこんで、向き合って、やり直して、立て直して。その繰り返し。だが、それこそが醍醐味だ。そこに成長を実感できる。そして私たちは人生でも同じ醍醐味を味わう。
「本音で向き合う。自分を疑って進む」佐伯 夕利子
最後の最後に書かれている一節を読んで、クライフを崇拝する恩師に改めて感謝。
サッカーボールを転がしてくれたけれど、教えてくれたのはフットボールだったと。
バレーボールでもボトムアップ型の指導者に恵まれたことにも感謝。
ところが…
そんなボクの指導キャリアは酷いものでした。
最初は母校である高校の男子バレーボール部監督。
選手主体を大切にしようとしていたにも関わらず周囲の指導環境に浸食されていきました。
目に見える形でチームも勝ち上がるようになったこともあるかもしれません。
監督でいることが気持ち良かっただけなのだと、今では恥ずかしい気持ちで一杯です。
やがて小学校教諭となりましたが、最初はやっぱり自分中心でした。
一方的な授業をすることばかりで子どもたちに残念な言葉を投げていたことも。
そして…
20年近くキャリアを積み挙げたU-12のサッカーコーチも最初は本当に酷かった。
「ちゃんとやれよな!」
なんてことを小学校1年生にも言っていた恥ずかしい記憶。
「厳しいことを言うのは子どもたちのためなんだ」
と頑なに信じていたい時代です。
もちろん、そこには不満げな表情を見せる子どもたちの姿がありました。
いや、あなたたち、子どもでしょ? なんで大人の私に逆らうの?――それが正直な気持ちだった。
「本音で向き合う。自分を疑って進む」佐伯 夕利子
同じような気持ちになったことも多々あります。
本当に未熟な教師でありコーチでした。
それでも多くの先生たちやコーチに出会って自らを見つめる機会があったことで変化が起きました。
「いいか!権威は人のために使うんだぞ。自分が偉そうにするために使うんじゃない」
38歳で指導主事になった頃に教育長から伝えられた言葉
なんてことを言われたことも大きかったと思っています。
さらに…
全国各地の先生たちやサッカーコーチと学び続けられる環境にあったこともありがたかった。
アスリートの声に耳を傾け、寄り添い、本人の主体性「楽しい!好き!やりたい!」を原動力に、高い自己決定による内発的動機付けからパフォーマンスにつなげる「支援型」のリーダーシップ。これは、リーダー本人の高い意識や意志と、時間をかけて根気強く向き合う必要があるため、スポーツ現場における浸透傾向はやや緩やかである。
「本音で向き合う。自分を疑って進む」佐伯 夕利子
まさにその通りで日本国内も果敢にチャレンジしているコーチがいるけれど認知度は低い。
学校教育も似た状況にあるのは根っこが同じだからなのでしょう。
教育改革が進まないのも変化を怖れる人たちが大勢を占めているからだと思うのです。
ボクら大人の役目は子どもたちの成長を支援すること。
その環境づくりに粘り強く取り組むことが重要です。
「指導を振り返り、自分を理解する。自己を俯瞰し、自覚的になる」
「本音で向き合う。自分を疑って進む」佐伯 夕利子
自分自身の歴史を振り返りながら、これからの歩みを再考する時間をいただきました。
子どもたちに関わる全ての人たち、組織に関わる全ての人たちにもオススメの書籍です。