多賀一郎先生は、ボクよりも10歳近く年上です。
それでも同世代の先生だなって感じがして親近感が湧きました。
是非、会ってみたい先生です。
苫野一徳先生は、最近になって知り合ったばかりですが注目の哲学者です。
友人である岩瀬直樹先生の紹介もあって、11月末にボクの教室にもやって来ます。
ワクワクしますね。
そんな二人の共著を読ませていただいてるうちに、
「どうしてボクは教師を目指したのか…」
「ボクはどうやって”今”に辿り着いているのか…」
50を過ぎたボクの教師人生を振り返ることができました。
教師像を描くテレビドラマに影響を受けたボク
小学生の頃は、水谷豊さん演じる「熱中時代」
北海道からやって来た先生が、子どもたちと奮闘する物語です。
失敗も多いけれど、一所懸命に小学生と毎日を過ごす。
校長先生は、いつも優しかったのを覚えています。
中学生の頃は、武田鉄矢さん演じる「金八先生」
まさにボクらの中学生時代を反映するドラマ。
校内暴力をはじめとした時代が描かれているけど金八さんは凄かった。
高校生の頃は、山下真司さん演じる「スクールウォーズ」
まさに、スポーツで暴れん坊を更生するようなドラマ。
たしかにこういう学校は多かったよなって思います。
ボクは、これらのドラマの影響も少なからず受けています。
どの先生も「カッコイイ!」と思ってましたから…
でも、教師を目指すに当たって最大の影響があったのは祖父の存在でした。
教え子を戦地に送り出した祖父の無念と教師への道
横須賀の海軍学校で教員を務めていた祖父…
分かっていながら戦地に教え子を送らざるを得なかった無念…
子どもの頃から帰省する度に聞かされる話の数々。
自分は生き残ってしまったという苦悩は、ボクの胸をえぐったものです。
戦後は、専門知識を生かして電力会社に勤務。
定年後は、戦死した教え子たちの家を行脚する旅を繰り返していました。
今と同じようなクラス集合写真があります。
祖父は、真ん中に堂々と写っていて、生徒たちも凜とした表情で立っています。
いつの時代だって、子どもたちには笑顔でいてほしいと思いますよね。
「時代が違えば、彼らには自由があったはずなんだ。申し訳ねぇ…」
ずっと心に残っている重い言葉です。
そんな無念を晴らす気持ちがボクにはあるのです。
先生になろうと必死になっていた頃のボク
若い頃のボクには、今ほどの余裕なんてあるわけがありません。
最初は、母校である高校の非常勤講師から教師としてのキャリアがスタートしています。
教科は、保健体育、高1と高2の授業を担当して男子バレーボール部の監督に。
いわゆる熱血タイプ…
「お前ら!まだまだできるだろ!やれ!」
なんて感じで、めちゃくちゃ追い込んでいました。
「限界を超えてからが勝負!」
なんて陸上部のキャッチフレーズも相まって、とにかく厳しい練習を強いていたものです。
結果として、バレーボール部はあっという間に強くなりました。
それでも、辞めていった部員もいて今では申し訳なかったとの思いが強いです。
25歳になって小学校に採用されました。
最初は、子どもたちに怒鳴ってばかりの先生でした。
今とは真逆の「型」にこだわる毎日…
とても少ない新採用は注目の的でした。
もちろん先輩たちや保護者の目も気になる年頃で「先生らしくいる」ことに必死でした。
「子どもたちになめられてもいけないし、保護者から苦情とか言われたくない。」
学習指導書の通りに板書をしながら授業を進める毎日でもあります。
2年目の指導主事訪問のこと…
「そんなに真面目にやらなくていいですよ。指導書から離れましょう。」
という指導主事からの一言がボクを救います。
「参考にするのはいいけれど、そこから創意工夫して自分なりに組み立てるといい。」
「創意工夫に、先生の個性が表れるんだから思い切ってやっていいよ。」
危ない、危ない…
ボクは、ハウツー本に書かれているような薄っぺらな先生になりかけていたのです。
「スポーツ×教育×日々の気づき」がボクのオリジナル
先生たちにも、それぞれ得意、不得意があるものです。
育ってきた環境も違えば、教育観も違うのは当たり前です。
スポーツの世界でいえば、選手一人ひとりに特徴があるのと同じです。
サッカーに例えてみましょう。
足の速い選手もいれば、ボールコントロールに長けている選手もいる。
個々の選手の特徴が全く同じなんてことはあり得ません。
そんな違いのある選手たちの力を融合して勝利を目指すのがサッカーです。
ボクはサッカーとバレーボールの世界に長年にわたって触れてきました。
プレイヤーにせよ、指導者にせよ、ピッチやコートを観察することが一番先にあります。
ボールのあるところで何が起こっているのか。
ボールのないところでは、何が行われているのか。
ピッチやコートの環境はどうか。
脳みそをこじ開けるように、ありとあらゆる情報を仕入れるのです。
そして、次の戦略を考える。
一瞬の判断が致命的なエラーを起こしてしまい、勝敗を左右するスポーツの世界です。
よく観察していないと大変なことになります。
選手たちが、自分の特徴を生かして勝利に貢献できるようにする。
レベルが上がれば上がるほど、とても繊細な感覚が求められるのもスポーツの世界です。
ちょっとパスがズレただけで勝敗が決まってしまうこともあります。
だからこそ、そこにはこだわりを持たせたい。
そして、常にスポーツの世界は進化し続けます。
「常識」が通用しなくなり、いろいろな戦術やトレーニング方法などが登場します。
競技の本質的な部分に、新たなエッセンスを加えていく不断の努力は凄いものです。
そんなスポーツ界の出来事に触れさせてもらってきたことはボクの強みでもあります。
スポーツの現場と教育の現場には共通点が多いものです。
全国各地の先生たちにも、それぞれの特徴を生かして欲しいなって思います。
自分の得意分野で培った力を活用すれば子どもたちの姿が鮮明に見えるようになります。
時代は常に変化します。
だからこそ、日々の実践を振り返りながら常にクリエイティブな先生でありたい。
「問い続ける教師」
今だせる「最適解」を見つけて日々、実践を続けていきたいと思います。
Good Luck.
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