12月なのに気温がグンと上がった火曜日。
野辺山あたりの電光掲示板も13度を示すほど暖かな一日でした。
夕刻から雨も降り雷鳴も轟くという珍しい天候。
佐久穂へ戻る帰り道…
何としても手に入れたい酒を求めて黒澤酒造さんへ立ち寄りました。
「新酒しぼりたて井筒長」
いわゆる「ふな口」の新酒、そしてなんと「3.6L」なんていうサイズがあります。
ロット番号「030」をゲット!
一人なので…
こちらを開栓するのわけにはいかず四合瓶を開封。
「ふな口」らしいフレッシュさとまろやかさを感じる旨い酒です。
キンキンに冷やして飲んでもいいけれど常温に近づくほどにスッと舌に乗ってくれる。
これ、いくらでも飲めちゃう(笑)
冷涼な気候、澄んだ空気、そして良質な伏流水を生かした千曲川最上流の蔵元です。
箱の中にある葉書に書いてある案内文を読みながら考えます。
ここでしか造れない酒があって、ここでしかできない細やかな醸造がなされているはずです。
いくらオートメーション化が進んだ現代であっても酒造りは簡単ではないでしょう。
水の状況だって微妙に変わるはずだし、その年の気候条件にも左右されるはずです。
そんな複雑な条件の下でも、その時点での最高の酒を醸しているはず…
その辺りのことは、ぜひ話を伺ってみたいと思います。
今年のしぼりたては、長寿男性日本一 安曇野松川村 丸山晃さんの契約栽培米美山錦で醸しました。
酒米の旨みを最大限に生かすことも簡単ではないはずです。
たかが米ではないのですから…
「美山錦」の特徴はある程度わかったとしても、その年の出来栄えは微妙に違うはず。
そんな微妙な変化を杜氏さんたちの微細なセンサーで捉えながら酒を造る。
素材もさることながら、関わる人たちの知性を結集して醸造される。
そんな物語があって今まさに飲むことができるのだと実感しています。
思いの詰まった酒を思いを込めて飲む。
ありがとうございます。
旨い酒について考えると同時に…
夕刻、リフォーム工事中の学校で現場監督と昆布茶を飲みながら懇談したことも相まって…
「個性を生かす」ってことに思考を巡らせています。
木材のサンプルに触れながら、いろんなことをレクチャーしてもらいました。
用意されている木材を、ただ何となく使うではない。
木材は生き物ですから、その木材の個性を感じながら作業します。
特に古くからある木造の建物は、丹念に木材の個性を生かしながら造営されたとのこと。
法隆寺は好例だそうです。
しかも伐採する時から仕事が始まっていたことにも驚きます。
伐採する木の特徴を観察しながら、どこの部分に使うのかを決めていく。
「杉だからここでいい」
とかザックリしたものではなくて、どんなふうに生えていたのかまで見て考える。
木によって特徴はあっても、それが全て同じというわけでなく微妙な違いがあるらしい。
これって人でも同じではありませんか。
みんな同じなんてことは絶対にないというわけです。
ましてや…
それぞれが持つ「個性」を最大化することってのは簡単なことではなさそうです。
「酒造りも建築も素材を観察しながら修正を繰り返しながら造ることが大切」
それって教育も同じですよね。
アプローチを間違えたら個性を殺してしまう。
「個性を生かす」って繊細さが求められるんだなって再認識。
今日も良き酒と良き人と出会いました。
感謝。