丹沢・大山の麓ではなく新大阪で迎えた日曜日の朝。
ちょっとレトロな感じのする狭いビジネスホテルの一室。
これまでもいろんなビジネスマンたちが宿泊したことでしょう。
「大阪に出張なんだよね」
なんて話す友人たちが羨ましい時代がありました。
ボクは地元で自宅と学校を往復する毎日でしたから。
江戸時代、大阪へ行くには徒歩で14日間もかかった。
明治時代(1889)には全線開通した新橋から神戸まで20時間。
大正時代(1921)には東京から神戸まで11時間50分。
昭和に入っても戦前(1930)は東京から神戸まで9時間、大阪まで8時間20分。
昭和33年(1958)には東京から大阪まで6時間50分。
昭和39年(1964)に新幹線開業がすると東京から新大阪まで4時間。
令和6年(2024)では「のぞみ」に乗れば2時間20分。
便利な世の中です。
2045年に開業を目指すリニア新幹線は品川と新大阪を1時間7分で繫ぐとのこと。
朝7時に東京に住む人が大阪へ買い物に出かける。
「ちょっと大阪に行くけど昼には帰るね」
なんて時代がやって来るのでしょうか。
高速道路も新幹線も飛行機も劇的にボクらの移動時間を変えました。
飛行機だったらソウルとか台北なんかだって日帰りできちゃいます。
気力と体力があれば遠くまで車で往復することも可能。
「なんて便利な時代なんだ!」
そう思う反面で失うモノも大きいなと感じています。
東海道新幹線の平均時速は230kmなのでビューンと景色が通り過ぎていく。
ジーッと眺めると酔ってしまいそうなほどに高速です。
在来線は時速60kmから90kmの間で走ります。
ガタゴトとレールの音を聞きながら列車が進む。
窓の外をジーッと眺めるのは本当に楽しいものです。
「お!あの集落は昔からあるところだね」
「あれ?あの山ってなんていうんだろう?」
「うわ!すごく大きな川だな」
というように発見を楽しめることができるんです。
ところが新幹線は高速なのでビジョントレーニングをしているかのよう。
それもまあ面白いのですが長い時間だと疲れてしまいます。
今回は仕事ですから新幹線が正解なのですが…
「やっぱり旅は在来線だな」
そんなことを思ったのでした。
できれば飯山線、磐越西線、只見線ぐらいが嬉しいかな。