信州まちなみスタディーズ〈佐久穂〉 谷あいの集落にたたずむ近代化の遺構を読了。
地図で見ると、東西に羽を広げたような地域である長野県南佐久郡佐久穂町。
千曲川沿いに街並みが築かれてきた歴史があります。
南北に延びる小海線は、高原列車で有名ですね。
山梨側からだと小海を越えれば佐久穂です。
道路は、佐久甲州街道が南北を貫いています。
東に上州街道、武州街道が伸びていて峠を越えて群馬県や埼玉県と往来が可能です。
西には、麦草峠を越えて諏訪地方へと伸びるメルヘン街道という観光ルートもあります。
ページをめくると、河岸段丘の町であることが分かりました。
我が家のルーツのひとつでもある新潟県中魚沼郡津南町も河岸段丘です。
千曲川は信濃川に繋がっていると思うと、なんだか嬉しくなりました。
集落、地方財閥、マルト醤油、東町、洋館を舞台に佐久穂の産業の歴史が垣間見えます。
峠を越えれば富岡製糸場も近い。
佐久地方でも生糸の生産が盛んに行われていたことが理解できます。
鉄道は、山間部と港をつなぐ大切な交通だったんですね。
「信州味噌」が世に出回ることも、この本で分かってきます。
ボクらにとって、味噌は買うものだというのが普通です。
江戸時代には味噌を買わなければならないような家庭は笑いもの
っていうから驚き…
それでも時代は変化するもので、買うのが当たり前になっていく。
すると、醤油は売れずに味噌が飛ぶように売れる。
そこで、大豆が必要になるので鉄道で北海道や東北から運ばれてくる。
安価な朝鮮半島からの大豆も利用されていたんだそうです。
人が入ってくれば必要になるのが人が集まるところ…
東町は、「東信州の上海」と呼ばれる花街と商店街があったそうです。
読んでいるだけで、当時の盛況ぶりが分かるような気がします。
カラマツを中心とした林業の一節も興味をそそる内容でした。
これからの地方の在り方について考えさせられる一冊。
この本との出会いにも感謝です。
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