「ボク、何にもできていないです。どうしたらいいでしょう?」
なんて若い先生たちが相談に来ます。
「うーん…どうしたらいいかなあ?」
と一緒に考えて解決方法を探っていきます。
「どうしたら、あんなクラスになるんでしょうか?理想です!」
そう言ってくれるのホントに嬉しいんですが…
ボク自身もかなり悩んでいたので良いアドバイスとかはできません。
でも…
ちょっと若い頃を思い出したので書いてみますね。
「あー!こういうの嫌だな!」
子どもたちの姿が想定とは違う。
「こうすれば、こうなって授業もスムーズに進むはず…」
なんて思って進めているのに上手くいかない。
なんとか必死に引き戻そうとするのですが、どんどん混乱していきます。
自分の力不足なのは分かっているのに認めたくない。
「うまくいかない原因はどこにあるんだろう?」
「ボクのやり方か?」
「それとも子どもたちか?」
「ボクはちゃんとやっているぞ!」
「だから、できないのは子どもたちのせいなんだ!」
なんて思ってしまっていた時代があるのです。
それは、何故かというと…
単純に目の前の状況が自分にとって嫌な状態だからなんですよね。
ただそれだけ。
それでも…
「このままじゃ、まずい。」
そんな悩みを抱えながら、毎日が過ぎ去っていきました。
「ボク、何もできないです!」
良いと思われる授業をすることに躍起になっていた若い頃…
「わかる授業とは何か?」
流行のICTを駆使して、かっこいいイケてる先生を目指す。
授業方略を研究しては、あれこれと実験を試みるのですが上手くいかない。
そんな頃の学校は…
20代の同世代は探すのも困難なほど少なくて先輩ばかりでした。
新任から10年も後輩となる男の先生が入ってこないくらい(汗)
ある日…
とても苦しんでいたボクは先輩たちに悩みを打ち明けます。
「ボク、何もできないです!」
「先輩たちは、引き出しがいっぱいあって羨ましいです!」
そんなことを言う若造のボクに先輩たちは言います。
「桑ちゃん、みーんなそうだよ。だから、大丈夫だよ。」
居酒屋で深夜まで話を聞いてくれた先輩もいれば、帰り道に話を聞いてくれた先輩もいる。
ホントに多くの皆さんに迷惑をかけてきました。
「今のあなただから…」
ある日…
大先輩と帰りの車の中で話したことを鮮明に覚えています。
当時の学年主任さんで同郷ともいっていい大先輩。
「授業は、そのうち上手になるから大丈夫。それよりね…」
ウダウダと御託を並べるボクに優しく語りかけます。
「今のあなたは、子どもたちとパワフルに外で遊べるでしょ。」
たしかに…
20代のボクは、子どもたちと休み時間や放課後に遊びまくっていました。
「今の職員室で、そんなに遊べるのってあなただけでしょ。」
「だから、どんどん遊べばいいじゃない。」
更に大先輩はこう言います。
「むしろ、もっと遊びにハマりなさい。」
それは、今思うと強烈なメッセージでした。
「もっと子どものそばにいなさい!」
よく考えてみると…
「もっと子どものそばにいなさい!」
ということだったと思うのです。
たしかに黒板を背にして立っているボクに足りなかったのは子どもたちを理解すること。
「あー!こういうことが好きで、こういうことは苦手なんだなー」
一人ひとりの子どもたちが、どんな思考を持っていて得意なことや苦手なことは何かを知る。
遊んでいると、本当に子どもたちの自然な姿がよく見えてきます。
「あー!そうか…ボクは子どもたちを理解しようとしていなかったんだな。そりゃダメだ。」
そう思ったボクは、できる限り子どもたちの中に入っていくことにしました。
そうしているうちに、子どもたちの表情も変わっていきました。
おかげでボク自身も安心して授業の時間を過ごせるようになりました。
ふと…
大先輩たちから教わったことを思い出した木曜日でした。
授業よりも大切なことって多いですよね。
それではまた!