スッキリとした青空が広がった丹沢・大山の麓。
地元の商店街で用を済ませてから小田原へ向かうことにしました。
特に目的があったわけじゃないんです。
ホントになんとなく…
トンネルを抜けると秦野盆地へ向かう大きなカーブがやって来る。
その向こうに丹沢の山並みがドーンと見えてくる。
秦野駅、渋沢駅を越えて、さらにトンネルを抜けると自然の中。
山の間を抜けて川沿いに走ると新松田。
そこからは一気に左にカーブして小田原へと列車は南下していく。
小田原駅に降り立ち、駅前の商店街を歩く。
懐かしい感じのする昔ながらの空間が広がっています。
東海道が東西に走る小田原は城下町でもある。
小田原城の南側には旧小田原宿があります。
古くからありそうな商家などの建物も並び、さらに南には相模湾。
御幸の浜から見える景色は、この時期らしい海の色で綺麗です。
国道1号線沿いを箱根方面へ。
古くからありそうな建物の前で足が止まりました。
400年続く現役の薬局らしい。
外観を眺めながら店の前を行ったり来たり…
中には人生の大先輩だと思われる店主がいる。
店内もレトロな空間で興味が湧きました。
「あのー!見せてもらってもいいですか」
店主に声をかけてみる。
「どうぞ!どうぞ!」
と笑顔で迎えてくれた店主さんは80歳だそう。
「この建物、とても古そうですよね?」
と尋ねてみると、なるほど納得のお話をしてくれました。
「これね、関東大震災で壊れちゃったんですよ」
薬箱がずらりと並ぶ棚の中にある1枚の写真があります。
潰れてしまった瓦礫の上に当時の人たちが何人も立っている。
「あ!そうですよね。建て直したってことですか?」
と安直に考えて質問すると…
「たまたまね、この家は燃えなかったんですよ」
「燃えなかったから、昔の材を使って建て直したんです」
そうそう関東大震災は昼時で火災が発生したのでした。
この辺りでも数件を残して多くの家が焼失したのだそう。
なるほど納得です。
店主のお話は、そこで終わりではありませんでした。
「こちらの写真を見てください。震災前の撮影なんです」
話によると消防の出初め式。
「ここには、この周りの商店主がいっぱい写っているんですよ」
撮影したのは隣の写真屋さんだったとのこと。
並びのお医者さんとか、通り向こうの店の人とか…
いろんな人たちが写真に収まっているのです。
「これがあったから建て直すこともできたんです」
という言葉に重みを感じました。
「お隣さんが…」「この辺りの人たちが…」「町内みんなで…」
そんなキーワードが心にしみます。
こんなガイドマップをいただきました。
先週の越後高田、今週初めの石岡も狭い地域に生活に必要な商店が並ぶ。
みんなで助け合って暮らしてきた歴史があるんですね。
その地域で暮らす人々がガッチリと繋がって生きてきた。
薬局の店主さんと話からも近所付き合いは大切だなと再認識。
昔から栄えている町には嬉しそうに周辺のことを話す人がいるんですよね。
「持続可能なまちづくりに必要なことって?」
それは…
「そこにいる人たちが、しっかりと繋がって生きるということ」
今日も学びをいただきました。