遠くに見える水平線がオレンジ色の帯に包まれる早朝。
鹿児島から帰省中の我が家のサッカーボーイズ2号と弘法山へ。
ボクにとっても彼にとっても子どもの頃からの遊び場だ。
どれくらいで山頂まで辿り着けるかはよく知っている。
寒そうだったので着込んで出かけたが登っているうちに汗をかいてきた。
だんだん日の出時刻が迫ってくるのでスピードもあがる。
山頂近くの登山道に地元住民と思われるシニアの方が座っていた。
遠目にみると怪我でもしたのか、体調でも悪いのか心配になったが杞憂だった。
持参したスコップとハンマーで崩れかけた階段を補修してくれいた。
「ちょうど良かった!踏んでいってくれ!」
ということで土を踏み固めてから礼を言って通過する。
「ああいう人っているよね。ほんとありがたいよ」
そんなことを話しながら弘法山の山頂へ着いた。
山頂には傾斜に張り出して展望デッキが設置されている。
「おー!こんなのできたのか!なかなかいいじゃん!」
そんなことを言って久しぶりのサッカーボーイズ2号は一眼レフカメラを構え始めた。
日頃は大きなビデオカメラを担いでいる報道カメラマンだけに顔つきが変わる。
真剣な眼差しで日の出の瞬間を待っていたことが印象的だ。
「おはようございます!」
弘法大師像のある釈迦堂周辺を清掃してくれている人たちと挨拶を交わす。
まるで鎌倉辺りにあるお寺の参道のように砂利まで綺麗にしてくれている。
早朝からの作業に頭が下がる。
「さて、富士山はどうだろうね?雲はかかってないかな?」
そんな心配をしながら権現山へ向かった。
秦野盆地の向こうに雲ひとつない富士山を眺める最高の景色が待っていた。
「あ!大丈夫そうだね!めっちゃいい!」
弘法山からの階段を下りながら雲がひとつもないことを確認。
馬場道からも眺めつつ、更に階段を上がって展望台へと上がる。
地元住民らしき人や登山客の姿が7時過ぎにはある。
今日は雲ひとつない富士と箱根が見えたので最高の景色を堪能できた。
日頃から気軽に登ることができるボクらと違って遠くから来てくれる人たちがいる。
そんな人たちが権現山からの眺めを楽しんでいる光景を見ることが好きだ。
ただ、富士山が見えないときには残念な気持ちになる。
そういうこともあって今日の景色にホッとした。
もちろん、ここでもサッカーボーイズ2号はシャッターを切る。
「良い写真が撮れた!」
目的を果たしたので下山する。
既に作業を終えたのか、弘法山周辺を綺麗にしてくれていた人たちの姿はもうなかった。
弘法山周辺では環境整備をしている人たちを見かけることがある。
早朝からホウキとちりとりをもって庚申塔の周りを掃除している人もいる。
弘法山麓の民としては当たり前にやっているようにも見える。
「誰かがやらないとねえ」
そんなことを言う人生の大先輩たちも多い。
「美しい富士箱根を見せてくれたのは誰なのか?」
それはきっと弘法山公園を愛する名もなき人たちの存在も大きい。
皆さんに感謝する朝となりました。