こどもの日がやって来ました。
今年は、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの年。
大会出場をかけて各競技の選考会も頻繁に報道されていて、スポーツへの関心度もアップ。
というわけで…
長年、スポーツと教育の現場にいて感じる子どもたちのスポーツ環境についての話を少々。
減少続く子どもの数とジュニアスポーツ
我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで- (「人口推計」から)
によると…
全国
こどもの数は1617万人、34年連続の減少
こどもの割合は12.7%、41年連続の低下都道府県
こどもの数は東京都で増加
こどもの割合は沖縄県が最も高く、秋田県が最も低い
のだとか…
相変わらず減少傾向にある子どもたちの数です。
ジュニアスポーツチームもメンバーが不足してなくなってしまったり統合されたり…
部活動では、部員が集まらず廃部になったり、合同チームで大会に出場してたり…
数の減少による影響は、これからますます大きくなっていくことでしょう。
日本サッカー協会では、U-12年代を8人制としています。
攻守の切り替えが速くなり育成に有効だとされていますが、競技人口減少にも一役かっています。
11人揃わなくても8人で大会に出られるわけですから…
学年で人数が揃わないので低学年まで混ざって大会に出るしかないチームなど耳が痛い話も多いのが現状です。
子どもの貧困とジュニアスポーツ
最近、気になっているのは子どもの貧困とジュニアスポーツの関係です。
厚生労働省「国民生活基礎調査」によると…
子どもの貧困率は約16%で、6人に1人が貧困
と言われています。
ちなみに1985年は約11%、年々上昇傾向にあるのが現状です。
子どもの体力は、この1985年をピークに衰えてきたと言われることからも相関関係があることが推察できます。
スポーツは国民が心身ともに健康で文化的な生活を営むうえで不可欠である(スポーツ基本法)
スポーツを楽しむことは、私たちが元気に暮らす上では大切なものです。
でも、残念なことに経済的理由でスポーツを楽しむ機会を失っている子どもたちの存在も見逃せません。
親の年収による子どものスポーツ実施率について、こんな報告もあります。
年収400万円以下 5割に満たない実施率。
年収400万円以上800万円 約6割の実施率。
年収800万円以上 6割を超えて7割近くの実施率。
どの競技を楽しむにも参加費や用具代がかかります。
友だち同士で誘い合って参加を促しても…
ぼくは入りたいんだけど、お母さんがダメって言う。
という子は少なくありません。
レジャーも多様化しているので、もちろんスポーツに興味関心が薄い人たちもいます。
それはそれでいいでしょう。
でも…
いろいろある家庭事情の中で経済的理由が原因でお金がないとスポーツができない。
というのが当たり前になる世の中になるのはいかがなものかと思うのです。
進む競技志向とジュニアスポーツ
イチロー、石川遼、錦織圭など、幼少期から鍛えてきたトップアスリートを目指してジュニアアスリートなんていう言葉も登場。
それこそ幼児期から競争の渦中にさらされる子どもたちもいます。
そもそもスポーツは遊びなのに、楽しさを追求しないまま競技から離れていく子どもたちも見逃せません。
少年スポーツを「成果主義」で測る”異様”(東洋経済ONLINE)
こちらに女の子の話が出てきます。
「今日ね。試合で5回ボールをさわらなかったら、サッカーやめなさいってママに言われたの」
こんな話は、山ほど経験してきました。
ホントにやめさせられた子どもたちもいます。
親からしてみれば、
お金も時間もかけて応援しているんだから成果が出なければやめてもらう。
そんなところかもしれません。
子どもの将来のためと言いつつ、自分が満足できないのでチームを移籍させたり、他の競技へと移らせたり…
「サッカーがダメならほかのことをやらせたいと言うのですが、サッカーがダメと誰が決定を下すかと言えば親なんですね。実際に子どもたちはすごく楽しそうにやっているし、サッカーが好きなように見える。でも、親御さんはそこには目を向けない。どちらかといえば、他の子よりわが子が劣っているという現実を、親の側が受け止められないのではないか」
子どもたちの多様性を認めることなく、個々が持つ成長スピードも考えず安易に結果を求めてしまう。
もちろん、子どもたちが活躍すれば嬉しいです。
でも、いろんな子どもたちと一緒に過ごす中で、お互いを認めあうことや楽しむことを覚えてくれたら、もっと嬉しいはず…
子ども時代は、上手くなることよりも大好きになることが大切
だど私は信じています。
子どものチカラを信じてスポーツを楽しむことが大切!
サッカー、野球、バレーボール、バスケットボール、卓球、テニスなどの球技運動もあれば、陸上競技や武道などもある。
鬼ごっこや縄跳びだって立派なスポーツですし、親子で釣りや山登りを楽しむのもいいでしょう。
芝生で追いかけっこをしてみたり、ボール遊びをしたりもいいでしょう。
競技性の高い運動をすることだけがスポーツではありません。
テレビやスタジアムなどで、いろんな競技を観戦するのもいいでしょう。
こういう競技があるんだとか…
親子で話をしながら観てみるとか…
楽しみ方は千差万別。
何よりも…
子どものチカラを信じてあげることが何よりも大切!
子どもの未来は、子ども自身のものであって、子ども自ら切り拓くことも忘れないでくださいね。
2020に向けてスポーツへ関心が高まる中で、全ての子どもたちがスポーツを楽しむための環境整備も必要です。
世界に類を見ない学校体育施設や教室を活用した安価なスポーツ教室などの開催などのアイデアも必須。
トップアスリートだけではなく、地域や子どもたちに向けたスポーツ政策も必要です。
とりあえず、施策として予算がついたからやるのではなく…
スポーツ庁、文部科学省、厚生労働省などの省庁、各スポーツ競技団体、学校などの教育機関…
子どもたちが関わる全ての人たちが共同して取り組む課題だと思っています。
全ての子どももたちがスポーツを楽しめる環境を!
Enjoy Sports!