尊敬する指導者の一人に湘南ベルマーレのチョウ・キジェ監督がいます。
試合中のキジェさんはピッチ近くに立って選手を鼓舞し続ける。
時には激しいジェスチャーで感情を露わにすることもある。
「おいおい!キジェさん熱くなりすぎだよ。」
って画面越しに笑ってしまうこともありますが何かそこには選手への愛を感じるのです。
出会った選手たちと真剣に対峙する。一期一会で終わらない、”一期一真剣”のマインドがなければ指導者としての責任を果たせない。
こんな言葉からも彼の真剣さがひしひしと伝わってきます。
キジェさんは育成カテゴリーの選手からの信望も厚い。
我が家のサッカーボーイズ1号もお世話になっていた時期があります。
「チョウさん怖いけど、いいコーチだよ。」
ユースには上がることができなかった1号は恨みつらみを言うわけでもなくそう言っていた。
「キジェは信頼していいぞ。」
尊敬する大学のひとつ上の先輩も当時そう語ってくれていた。
あれから随分と時は経つけれどキジェさんのもとで育ったユースの選手は結果を残している。
そしてトップチームからも他チームへステップアップする選手が目立つ。
「何でだろう?」
不思議に思うことがいっぱいあって彼の人間性とかにも興味津々なわけですが…
この本を読んでみてわかるのは「選手への限りない愛情を持つ指導者」ということ。
人を好きになっていかなければ、その人をしっかり見ることはできない。
ここに尽きるんじゃないかと思うのです。
「育成」では何よりも選手が「楽しい」って思うことが大切です。
そして、そこには指導者の愛情は必須条件。
ジュニア年代から勝利至上主義でPLAYER’S FIRSTじゃなクラブも目立つ。
たしかに全国大会へ出たら凄いかもしれないけど…
結果として選手を潰したらダメだと思うんですよね。
全国大会へ出るくらいなのにサッカーが嫌いになったという選手もいる。
それって育成カテゴリーの指導者の責任だとボクは思う。
ありがたいことに我が家のサッカーボーイズたちは今でもサッカーが大好きです。
それは真剣に愛情を注ぎながらサッカーに取り組ませてくれた指導者がいたからです。
これ、サッカーの現場だけじゃありません。
学校も同じです。
目の前の子どもたちに愛情を注げるか否か。
「みんなのことを思っているんだよ。」
と言いつつ残念ながら自己実現のために子どもたちを操る人たちをたくさん見てきた。
それじゃあ勝利至上主義の指導者と同じなので、子どもたちには見透かされる。
結果として学ぶことが嫌いになって自信のない大人へしてしまうこともある。
これって本当に罪深いと思う。
指導技術とか教育技術は確かに大切です。
でもね…
その前に必要なことは「愛情」ですよね。
今日は「こどもの日」
もう一度、自分自身の立ち位置も確認する一日にしたい。
「心を奮わせて伝えなければ、選手に言葉は届かない」
「出合った選手たちと真剣に対峙する。一期一会だけでは終わらない、“一期一真剣”のマインドがなければ指導者としての責任を果たせない」
「いっさいの利害関係や理屈を抜きにして、預かった選手たちを好きになる」選手の成長を考え、真正面から対峙する指揮官は何を考え、どのように選手と接するのか。
選手を熱狂させる指揮官の指導哲学が詰まった一冊です。