雲ひとつない青空に包まれた丹沢・大山の麓。
こんな晴天に恵まれたのは久しぶりな気がします。
ぐるぐると空を見上げても雲が視界に入らない。
さて…
12月最初の土日は恒例の「フォレスト大楽」の大山合宿です。
講師は池上正さん
今回の講師はサッカーコーチとして超有名な池上正さんです。
子どもたちとのリアルな実践の場を見せていただいた後に、大人同士が語り合うという2日間。
ボクは毎度おなじみの対話の場をつくる役を仰せつかりました。
指示しない指導のひみつ
フォレストの子どもたちとの90分は納得することばかりでした。
池上さんの指導は一貫して穏やかな声で行われます。
子どもたちに届けばよいくらいのボリュームで、けして声を張り上げることはありません。
そして、指示が極めて少ない。
しつもんベース
池上さんの放つ言葉は「しつもんベース」です。
池上さん「聞いていただけますか?」
子どもたち「はい!」
池上さん「本当ですか?」
こんな感じでスタートします。
池上さん「これから試合をします」
指示といえばルール説明くらいです。
池上さん「どっちに攻めるか決めてくれる?」
子どもたちに考えさせる場面が続きます。

面白がって「みる」
池上さんは、子どもたちの様子をニヤニヤと見ています。
「これどうなるんだろうなあ?」
面白がって、それでも真剣に子どもたちの様子を見守っている。
「どうして、そうなるんだろう?」
子どもたちの動きを見つめながらグルグルと思考のサイクルを回しているようです。
どっちに転がるのかを見極めて修正する時は指示によるものではありません。
ちょっとした設定変更をして次へ進んでいきます。
「子どもたちが上手くいかないのは設定が悪いからだ」
と背中で語りかけているようにも見えました。
「ちゃんとしなさい!あれやって!これやって!」
なんて指示する光景をスポーツと教育の現場で多く見てきましたが、やっぱり違うんですよね。
授業がつまらないから子どもたちは学ばない。
練習がつまらないから子どもたちがやらない。
子どもたちがわるいんじゃないんですよね。

だれかを感じる
2人組で手を繫いでサッカーをしたり、3人組になったり、6vs6でサッカーをしたり…
仲間の存在を意識せざるを得ない構成になっていることに気づかされます。
次から次へと少しずつルールを変更しながら子どもたちが繋がる仕掛けを用意している。
「せーの!」
子どもたちがお互いのボールを相手にパスするときに自然に出てきた言葉。
池上さん「せーの!って声かけてたけど、それはどうして?」
子ども「心の読み合い」
池上さん「次は話さずにパスしてみようか?」
となると今度は子どもたちの顔が上がり、自然にルックアップができるようになる。
子ども「広がって〜」
試合の途中、とある子どもがチームメートに伝えます。
池上さん「広がって〜と言ったね。なんで?」
すかさず、しつもんをする池上さんの姿がありました。
そうしいるうちに、子どもたち同士が自然に繋がっていくのです。

多くを語らず考えさせる
90分というトレーニングの中で一貫していたことが「多くを語らず考えさせる」ということ。
よくある指示ばかりしているというような場面はありません。
コーチに言われたことに忠実に向き合うようにするなんてこともない。
「何、考えてた?」
「どうなってる?」
「どうすればいい?」
トレーニング中は常に「しつもんファースト」で進行します。
「教室を子どもたちに明け渡そう!」と決意して学級経営をしていた当時の自分を思い出しました。
その頃に手にした本がこちら。
畑先生のボトムアップ理論と共にエッセンスを教室に取り入れ始めた頃と重なります。
「指示からしつもんへ」と移行して試行錯誤していたんですね。
池上さんとの出会いに改めて感謝です。

コミュニティをジェネレート
ところで…
フォレスト大楽におけるボクの役割は「場を生成する」こと。
スポーツと教育の現場経験をもとにファシリテーションとコミュニティデザインが融合した感じ。
子どもから大人まで全世代、集まった人たちの思考を広げる大切な役割です。
大人同士で語り合う
フォレスト大楽の仲間はサッカーコーチ、学校や各種教室の先生、子育て中のパパやママが中心。
日頃から子どもたちを真ん中に置いて試行錯誤をしている人たちです。
そんな仲間たち同士が語り合い、魂が響き合うような場をジェネレート。
初日の体育館は少し寒かったので身体を動かす時間も入れながら対話の時間を構成しました。
「みる」ということ
「池上さんの指導をみて、思ったこと感じたことを話してみてください」
4人1組になって話し始める。
最初は5分だけなので話し足りない。
「それでは、池上さんの指導をみて、これ大切だなというキーワードを見つけてみてください」
次は10分ほど、徐々に時間を延ばして語り合う。
「みる」「見方」「子ども理解」「設定変更」「解読」「自然になる」「コミュニケーション」
「子ども主体」「待つ」「声かけのタイミング」「自由な中での動き」「アンサンブル」など…
最後は多くのキーワードが出てくる中で「みる」ということにフォーカスして対話を重ねていきました。
「ただみるのではなく感じる」「相手をよくみるだけでなく、相手からみえていることをみる」
そのためにはボクらはどうすればいいのかを、それぞれの立場で考えるような時間でした。

アフタートーク
フォレスト大楽の合宿は夏と冬の2回。
神奈川県伊勢原市にある大山で行われ、宿坊「かすみ荘」さんに宿泊して語り合います。
試合をした相手チームと共に美味しい酒と料理をいただきながらコミュニケーションをとるような時間。
そこでは日頃の話やら、それぞれの地域の話やら、はたまた真面目な話やら…
こういった時間があることの重要性を改めて再認識。
ただただ試合をして帰るのではつまらない。
みんなでワイワイガヤガヤとする時間があることでカルチャーが生まれる。

Cafe大山
日付が変わるまで話し込んで、それぞれ眠りにつきました。
朝起きてビックリしたのは一部の人たちが午前3時まで話をしていたこと。
それだけ話が尽きなかったんですね。
2日目は公民館を会場にしての120分。
「どうしてボクらは待てないのか?」
そんなお題で対話することからスタート。
「どうしてもやらせたくなっちゃうから指示しちゃう」
「言葉で正解みたいなことを伝えたくなっちゃう」
「結局、矢印がどこを見ているのかだよね。自分なのか相手なのかって….」
あちらこちらで活発な議論が続いた後に「Cafe大山」を開店しました。
池上さん、祖母井さん、てっちゃんを真ん中に。
「みる」「まつ」「たのしむ」の3つのキーワードをおいておしゃべりしてもらいました。
思い思いに話をしてもらって、その話を参加者みんなで聴く。
いろんなボールが転がされては、それぞれ思考を巡らせていく。
最後の最後まで語り合う、なんとも贅沢な時間となりました。

フォレスト大楽
本当に今回も楽しかったし、めちゃくちゃ脳みそがかき回されました。
それぞれの皆さんが合宿で感じたことを持ち帰って何かしらチャレンジしてくれたら最高です。
みなさん、本当にありがとうございました!
「フォレスト大楽?なにそれ?」って思った人たちはこちら↓
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あ!そうそう!
「くわさん!ボクらのコミュニティもジェネレートしてください!」
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